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「フッ…、あはっ、あははッ!!!あははは!!!」
「…へ?」
突然の笑い声に思わず顔を向けると、腹を抱えて笑う彼。
目には涙まで浮かんでいる。
何故…?
「ご、ごめッ…、ック、…フフッ…」
「お、俺 変なこと言った?」
「…ッ……はぁ。ううん、違うんだ。すごい必死だったから、可愛くてつい。ごめんね。」
「ッ!?かわッ!?!?」
今までのどこにそんな要素があったのか。
第一 男に可愛いもくそもあったもんじゃない。
「…あー、うん。そっか…、そうだね。一歩手前か。そっかそっか。ははっ…、うん……ありがとう。」
フワリ。
あ、これダメなやつ…
柔らかい、花のような笑顔。今日見た中で、一番綺麗な。
俺が言いたかったことは、ちゃんと伝わったのだろうか。
俺の応援は、届いたのだろうか。
「俺、もうちょっと頑張ってみるよ。」
彼はそう言うと、ひょいッと石垣に飛び乗った。
あぁ、早く、早く呼び止めないと。彼が行ってしまう。
「…ッあの「あっ!そうだ!!」…え…?」
「忘れてた。」
ブワッ…
「“さくら”って言うんだ。」
ヒラリ、ヒラリ…ひとつの花弁とそれを表す音が、風に乗って運ばれてきた。
「…俺の名前。綺麗でしょ。」
うん…、うん…。
訂正するよ。
今の顔…今日見た中で、一番綺麗な笑顔だ。
「…君は?君は何て言うの?」
目が、離せない。
「…お、れは…ッ…、」
「…うん?」
どうしよう、声がでない。喉が震える。
俺はね、俺の名前はね…、
「…俺は ……── ─ ー
ーーー「──ひ、は…─ひ!………暖陽( ハルヒ )!!」
「…んぅ…、ッ、ん~ッ…」
「ん~じゃないでしょ?こんなとこで寝たら風邪ひくよ?」
「おぁ~よぉ…」
「おはよ。また桜みてたの?」
「…ん。」
「好きだねぇー、俺のこと。」
「…… ぅ、うるさいなぁ、良いだろ別に//////」
「…うん……。嬉しい。」
「ッ!?…、ッ…、!?…」
「ははっ、帰ろっか。」
「お、あ、うん…。」
「お花見もいいけど、程ほどにね。ベンチなんかで寝てたら 本当に風邪ひいちゃうよ?」
「…気を付けます。」
「そうして下さい。まぁ寝惚けてるのは可愛いけどね。」
「…うるさいって…」
「ごめんごめん。…今年の桜はどうですか?」
「綺麗だよ。今年は特に。」
「本当?ありがとう。」
「突っ込まないからな…。…色が濃いんだ。今年は一気に咲いたからかも。」
「そういえば 満開になるの早かったかもな。あ、そうだった!!!」
「え、なに?どうしたの?」
「実は、暖陽さんにご報告があります。」
「え?はい。え?なに急に?」
「実はですね…なんと この度、私の作品が……、Y展に入選いたしました!!!」
「ッ!!!ほっ、ホント!?本当に!?」
「本当に!…って言っても、まだ審査員賞なんだけどね。」
「良かったッ、良かったッ…!!!おめでとうッ、咲花( サクラ )…!!!」
「あはは……、ありがとう……//////」
何故桜が好きなのですか?
…それは、彼の…花だから。
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