12 / 35
Ⅰ 零⑩
運命なんてないと思っていた。
運命と運命が出会うのは奇跡だから。
稀有な存在なのだ。
運命とは……
しかし、運命が出逢った時、運命の歯車は廻り出す。
誰にも止められない。
出逢った瞬間、互いを好きになり恋に堕ちる運命は、今。廻り始めた。
俺は恋に堕ちている。
どうしよう……零が好きだ。
零も俺の事……
「愛していますよ」
頷く事しかできない俺。
好きだって。伝えたいのに、顔が熱い。
零の大きな掌に包まれた頬だけが、燃えるように熱い。
これが運命の恋なんだ。
ともだちにシェアしよう!