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Ⅶ そばに……
お前は、はにかんだ笑顔を浮かべた。
額にキスしてくれて、それから……パイロットスーツの上から胸の実を摘まんで、愛撫してくれた。
「Ω同士になっちゃったな」
「私は、あなたを犯します。役割は変わりませんよ」
あぁ、そうだった。
俺の願いは叶った。
「お前と、この空が見られて良かった」
次は、お前と………
「世界連邦政府は出て行け!」
それは、俺が受けるべき憎しみの連鎖だったんだ。
子供が投げた石を俺は避けられずに……
俺を庇って、お前は……
「ヒィィ、ばけものっ!」
叫んだ子供の口を押さえて、母親が手を引っ張っていく。
目の前に、一頭の銀色の狼が横たわっていた。
お前は……
分かったよ。
Ω同士になったって、お前は運命のΩ
お前は零なんだ。
俺達は地下施設で出逢った。
あの施設は、人体実験を行っていた。
お前も実験の被検体の一人だったんだな。
俺の命を繋ぐために、実験の犠牲となった……
だから、お前に名前はない。
code -ゼロ
お前は、そうか……
コックピット内の気圧、空気中の成分、あらゆる要素を配合、抽出して獣化を抑えていたのか。
だから、コックピットから出たお前は……
蒼い空色の眼が俺に訴える。
いいんだよ。
構わないよ。
お前がいてくれるだけで、俺は嬉しいんだ。
俺を抱きしめてくれる両腕が、お前になくとも……
俺がお前を抱きしめたいんだ。
フサフサの毛が柔らかい。
顔を埋めたら、日の匂いがした。
香りでお前は抱きしめてくれているよ。
愛している。
俺のΩ……零
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