38 / 88

(2)

「おっ、いつも帰りの会が長いって1組の生徒で愚痴を零される卵海先生なのに、今日は早い!」 「て、そんな愚痴こぼしてるんですかあの子達」 「知らなかったのかよ」  廊下の方から声をかけてきたのは隣のクラス、2組の担任を受け持っている藤宮先生。 「まぁ今日ぐらいは早く終わらせてもいいかもな。いつも長いんだから」 「…なんか結構失礼なこと言ってません?」 「失礼って事実だろ」 「まぁ…」  自分でも自覚してる。  できるだけ簡潔に伝えてるんだけど、どうも話が脱線してしまうんだよなー。 「それにしても、天体観測の宿題、卵海先生が考えたんだよな?」 「そうですね…」 「だるい、どうせ星なんて見えないって生徒からは不満の嵐だぞ」 「まぁそうですよね…。でも生徒たちに星空を見てもらいたかったんですよねー」  教卓の整理をし、生徒たちの机を綺麗に並べていると、藤宮先生も手伝い始めた。 「ちょっと、藤宮先生はやらなくていいですよ」 「いいのいいの。卵海先生に話があるから一緒に机並べながら話せばいいんだし。てか、この仕事、日直の仕事だぞ」  藤宮先生は窓辺の方の机から並べている。 「いや、知ってますよ。ただ今日は俺がやるからって日直の子には帰らせてあげました。いつもは日直の子にやらせてます」 「ふーん。だからか話の長い卯海先生が生徒から嫌われていない理由は…」  何かブツブツと呟いてる藤宮先生だが、廊下側の机を並べている俺の耳に届かない。  まぁ、ひとりごとだろうしそんなに掘らなくてもいいか。

ともだちにシェアしよう!