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ほんと駅の近くにこんな店があったなんてなー。
いつも仕事が終わったら、電車に乗って家に帰るだけで寄り道もしてないしな。
しかも休日は家で授業で使うプリント作ったり、答案用紙の採点したりで一歩も外に出ない日のほうが多かったりするし。
たまには街の散策してみようかな…。
「あれ、今日はあのバイトの子いないんだ」
「そうなの。うちのとこの前にもう一個、別の所で働いてるんだけど、そっちが忙しいみたいで、上がったらこっちに来るって言ってたけど…」
藤宮先生はいつの間にか料理を頼んで、女将さんと少し会話をしたあと、メニュー表を直しながら「大丈夫か?」と聞いてきた。
「なんか、ぼーっとしてたけど疲れてるのか?」
「あ、いや大丈夫ですよ。ただよく利用する駅の近くにこんな店があったんだなーって思って」
「あぁー、卯海先生真面目だから仕事終わったら寄り道もせず家に帰るタイプだな。しかも休日も家に籠もってそうだし」
「まぁ…」
事実なので何も言えず苦笑いをこぼす。
それからすぐビールと藤宮先生が頼んだ料理がきて、仕事の話、雑談をしながら飲み食いし、気づけば2時間近く店にいた俺達。
「そろそろ解散するか」
「はい。じゃあ俺がお会計を…」
「いいよいいよ。今日は俺の奢りで。俺が誘ったんだし」
「でもそれじゃ……」
「今度、卯海先生のおすすめの店に連れて行ってくれればいいよ」
「分かりました。今日はごちそうさまです」
「はいよ」
女将さんと少し話をし、店を出た俺達はここ辺が近所という藤宮先生と別れた。
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