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忍ぶ思う日々、充実と哀感

 お昼から夕方まで近所のこの駅の表側にある小さな商店街の一角にある喫茶店で 夕方から閉店の23時までひとつ先の駅の裏手の方の道沿いにある小料理屋で働いている。  まだ自分で作ったものをお客さんに出すことはできないけど、僕が考えたレシピがお店の看板メニューになって嬉しかったりする。   「――みけくん上がっていいよ。これからもう一つお仕事なんでしょ?」 「すみません。それじゃあ上がります。お疲れ様でした」  あの日――つばきの家を出て行って、でんしゃという、つばきと1回だけ一緒に乗った乗り物に乗り、たどり着いたのがこの街。  つばきの町より大きな街は人も多くて、パニックになりつつ歩いた。知らない街、適当に歩き続け何とか人通りの少ない商店街に辿り着いた。  その商店街で声をかけてきたのが今働いている喫茶店、シズクのおばあちゃん。  おばあちゃんとマスターのおじいちゃん夫婦で営業しているシズク。  人に酔っていた僕にレモンのジュース、レモネードとナポリタンをご馳走してくれたおじいちゃん。  僕の作っていたナポリタンとは遥かに違う味。  すごく美味しくて、僕は思わずその場で働かせてくださいと頼んだ。  本当にマスター、じいやって呼んでいたり――とおばあちゃん絹子さんは優しくて、すぐに僕を雇ってくれた。 「お仕事頑張ってね。でもあんまり無理しちゃ駄目だよ」 「はい。ありがとうございます。大丈夫ですよ無理なんてしてないので」  僕は笑顔でじいやと絹子さんに挨拶をして、次の仕事場、駅の裏手にある小料理屋、さつきへと向かった。

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