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(2)
そんなきれいな部屋の机の上にぽつんと置いてある赤いもの。
と他に封筒も二枚置いてある。
何だろう。
俺は机の上にある封筒のひとつを手に取った。
この赤いのはマフラーか。
でもこんな真っ赤なマフラーなんて持ってなかったけどな。
俺は不思議に思いながらも、手に取った封筒の中身を確認した。
これって………お金…?
1万円札が数枚入っている。
…………もしかして
嫌な予感がする。
俺はもう一つの方の封筒の中身も確認した。
二つ折りにされた紙切れが一枚入っている。
やっぱりこれミケがやったんだ。
俺は封筒の中の紙切れを取り出し開いた。
『つばきへ』そう始まっている文字の配列。
ミケからの手紙。
―――そこからの記憶は曖昧だ。
まだ遠くには行っていない、そう思いただひたすらミケの姿を探した。
辺りが暗くなり、あの浜辺も探した。
が、どこにも――この町に、もうミケの姿はなかった。
それからすぐ春休みに入り、外には出たくなかった俺は一日中家に引きこもった。
一緒にテレビを観ながら笑いあい、ミケの作ってくれたご飯を食べて、ミケとこの机で一緒に勉強もした。
風呂上がりのミケの髪も毎日乾かして、俺がプレゼントした星のゴムで前髪を結んで。
そうだ、ミケの髪の毛、俺が切った。
素人だったけどなかなか上手く切れて、ミケも喜んでいた。
出会った頃よりも笑顔が増えて、ミケの笑顔を見る度に嬉しかった。
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