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ミケと一緒に過ごしたこの部屋での日常が恋しい。
冷蔵庫の中に入っているミケが最後に作ってくれたオムライスとコーヒーゼリーはまだ食べていない。
冷蔵庫には入っているが、早く食べないと駄目になるのは分かっているが、これを食べたら本当にもうミケはここには戻ってこないという事実を受け入れないといけない。
その状態までまだ、俺の心は追いついていない。
もしかしたら、玄関の扉が開いて、「つばき、ただいま」とミケが帰ってくるかもしれない。
そんな夢ばかりを見ていた。
―――そして春休みは終わり、高校最後の学年へと進級した。
案の定、進級してすぐの学力考査は散々な成績で、担任の教師に個別で呼び出された。
さすがにこれじゃ駄目だ。
ミケだって俺が教師になることを応援してくれている。
今はどこにいるか分からない、それでもきっとどこかで応援してくれている。
俺は気持ちを切り替え、勉学に励んだ。
そして、希望する大学の教育学部へ合格、高校を卒業した。
入学する大学は東京のため、俺はミケと過ごしたあの部屋を引っ越すことになった。
――ミケ、夢への一步、志望していた大学へ入学できたよ。
ミケも頑張っているのかな?
会いたい。会ってミケに伝えたいことがある。
ほんとはずっとずっと前からこの気持ちには気づいていたんだ。
だけど自分のその気持ちに俺は蓋をして、気づかないふりをしていたんだ。
夢が叶って教師になったら、俺はミケを探し出そう。
俺はそう決心し、高校三年間、そしてミケと過ごしたこの部屋を出ていった。
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