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(2)
あっ、さつきの方の仕事に行かないと――。
僕は思いっきり体を起こす。
うーん。
寝てはいたけど、体のだるさは治まっていない。
でもさつきの方も日曜日だから忙しいだろうし行かなきゃ。
僕は準備をして、部屋を出た。
………頭痛いかも…。
歩く度にズキズキと痛む。
ちょっと休憩しよう。
まだ少ししか歩いていないけど、道路の端でしゃがむ。
やっぱり朝よりもひどくなってる。
薬買ったほうがいいかな。
もうろうとする意識の中、しゃがんでいた腰を上げふらつきながら足を前へ動かす。
「…………大丈夫か?具合悪そうだけど」
俯きながらゆっくりした歩幅で歩いていた僕の前に立ちはだかる人影。
「えっ…と、あっはい。大丈夫です」
おそらく話しかけてきたのは今僕の目の前に立っている人物。
……やっぱり駄目かもしれない…。
「全然大丈夫には見えないが…。どこに行く――って、おいミケ!」
僕の意識はそこで途切れてしまった。
でも最後に小さく聞こえた声は……つばきに似ていたような気がする――。
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