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店内はお昼時を過ぎていたので、誰もいなかった。
「いらっしゃいませ。好きな席に座ってね」
笑顔のおばあちゃんにおじいちゃん。
どうやらこの喫茶店は老夫婦で営んでいるみたいだ。
「はい、お水ね」
「あっありがとうございます」
適当にカウンター席に座った俺の前にコップに入った水を置いたおばあちゃん。
なんかほっこりするなー。
「注文はどうする?」
「えっ、あ、そうだな…」
俺は慌ててメニュー表を開いた。
メニュー表びっちりに埋め尽くされた料理たち。
喫茶店ではあまり見かけないような、エビチリや酢豚などの中華料理もあるみたいだ。
すごい数のメニューだな。
「じゃあ、わたしオススメのこのオムライスとかどう?」
品数の多いメニューに迷っていた俺を見ておばあちゃんがすかさず、オムライスの写真を指さした。
「えーと、じゃあそれで…」
「はい!ありがとね」
笑顔でおじいちゃんに注文の品を伝えに行くおばあちゃん。
オムライス、か。
あれ以来…ミケが最後に作ってくれた以降、食べてないな…。
もうオムライスは、ミケが作ってくれたオムライス以外は美味しいものに出会えないだろう。
…いやミケが作ってくれたものだから特別に感じるのか。
「はいお待たせ。オムライスね」
おばあちゃんが持ってきてくれたオムライスは昔懐かしいシンプルなオムライスで、ミケが作ってくれていたのもこんな感じのオムライスだった。
「冷めないうちに食べてね。すっごく美味しいから」
おばあちゃんはぼーっと目の前のオムライスを見ていた俺にスプーンを手渡した。
「ありがとうございます。いただきます」
俺はスプーンを受け取り、オムライスに手を付けた。
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