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「ねっ!美味しいでしょ!」
おばあちゃんの声が聞こえる。
でもそんなことよりもこの味、俺は知っている。
あの頃、食べていたオムライス…。
懐かしい味。
俺はもう一口スプーンに取り口に入れる。
ふわふわ甘め卵にケチャップ多めのチキンライス。
でもこのチキンライスには隠し味でウスターソースが入っていて味にコクが出ている。
「あのっ!このオムライスって……店主の方が作られたんですよね…?」
俺はすぐさまカウンターの中にいるおじいちゃんに声をかけた。
「えーと…今作ったのはわたしだが……このオムライスのレシピはわたしのではないよ」
「……じゃあやっぱりこれはミケが……」
「うん?あなたみけくんを知ってるの?」
俺の呟いた声に一目散に反応したおばあちゃん。
「ミケ知ってるんですか?」
思わずおばあちゃんに食いかかるように質問してしまった。
「みけくんはここの従業員でね。このオムライスのレシピもみけくんが考えたのよ」
……ミケ、ここで働いてたのか…。
実は結構近くにミケがいたことが純粋に嬉しい。
俺は久しぶりに口にしたミケのレシピのオムライスをすごいスピードで食べきった。
「すごいねお兄さん。よっぽどこのオムライス気に入ったのかい?」
完食したと同時にカウンターの中にいる店主のおじいちゃんが驚いた声音で聞いてきた。
「あっはい。このオムライス大好きです」
「そっかそっか。こりゃあ、あの子がここいたらすごい喜ぶだろうね」
「ねぇー。みけくん大丈夫かしらね…」
コップのお水を注ぎながらおじいちゃんに答えたおばあちゃん。
「あの…ミケどうしたんですか?」
「あ、みけくんの知り合いなんだねお兄さんは」
よかったわ、あの子にもちゃんと知り合い、お友達がいたのね~。と呟くおばあちゃん。
「あ、それでみけくん、今日体調崩して早退したのよ」
「そうなんですか?みけの家とかってどの辺かわかりますか?」
「うーんと。たぶんこの近くだと思うけど…。お兄さんみけくんのお見舞いに行くのかい?」
「はい。そのつもりです」
俺は注いでくれた水を一気に飲み干し、席を立った。
「そりゃあ、みけくんも喜ぶね」
おばあちゃんは嬉しそうに手をたたき、会計をしてくれた。
「ごちそうさまでした」
「はーい。また来てね。それとみけくんにもよろしくと」
「はい」
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