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「そうなのね。それならいいけど…。でもあなたはみけくんとは………」 「昔からの知り合いです」 「あっ、もしかしてお兄さんとか?なら大丈夫かしら」  勝手に俺とミケを兄弟と認識した大家さんは、ミケの家へと案内してくれた。  ミケの部屋の中へと入り、ミケを敷いたままの布団へと寝かせ、先程コンビニで買った袋の中から熱冷ましのシートをミケのおでこへと貼る。  洋服も着替えさせたほうがいいよな。  パジャマとかはどこかにあるかな。  俺は布団のそばにあった、透明な衣装ケースの中を覗く。  あった。  灰色の上下のパジャマがあったのでそれと、タオルも一緒に入っていたのでそれも取り出す。  着替えさせるためにもタオルで軽く体を拭かないと。  俺はぬるま湯で濡らしたタオルでミケの体を拭き、パジャマに着替えさせた。  そっかミケの裸、今日はじめて見たんだ。  さすがに風呂とか一緒には入ってなかったもんな。  髪の毛は俺がいつもドライヤーで乾かしてたけど…。  最初の頃――ミケと出会った頃は前髪は顔が隠れるぐらい長くて、見てるだけで邪魔だったから、ゴムを買ってあげてそのゴムで前髪を結んでたんだよなー。  今のミケは前髪も目の上だし、全体的に短くすっきりした髪型だ。  というか、俺がミケの髪を切ったときのあの髪型に少し似てる。  あれからもちゃんとこまめに髪の毛、気にかけてるんだな。  それに部屋だって、狭い部屋だが、掃除も行き届いてるし、しっかりとした生活をしてることが部屋を見ただけで分かる。  仕事だってしっかりこなして、お金を稼いで、こうやって知らない街でひとりで暮らしている。  手紙で書かれていたこと――自立。  しっかり出来てるんだな。  俺はミケの寝顔を見た。  見た目はあの頃とあまり変わっていない、だけど大きく成長しているミケ。  すごいな。  俺はミケの髪を優しく撫でる。  さらさらな髪の毛。  このさらさらな真っ黒な髪だってあの頃と変わってないな。  毎日ミケの髪を乾かすのが密かに楽しみだった。 「…………あっ」  髪を撫でていた俺はミケの首元でキラッと光るものが目に入った。  ……これ。あのときのネックレス――。  ミケの好きな星の形をしたネックレス。  店で見つけたとき、すぐさま買ってしまったんだ。  ミケ…今でも付けてくれてるんだ。  ってことは、少しは俺のことを思い出してくれてたりするのかなー。  俺は優しくそのネックレスに触れる。  嬉しい。  俺は眠っているミケの頬に唇を近づけた。  唇にするのは、ミケがちゃんと起きているときにしないといけない。  そう思い、頬に口づけをした。    やっぱり俺はミケのことが好きなんだ――。  恋愛対象として。  ミケと再会して、改めて自分の気持ちに気付かされた気がした。

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