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空虚な日々、多幸感

真っ暗闇、天井に冬の星空が一面に広がっている。 隣に座っているミケは、キラキラした目でその星空を眺め、星の解説を頷きながら聞いている。 俺は星空をそっちのけで、そんなミケの姿をじっと見つめていた。 やっと、やっとミケと一緒にプラネタリウムに来れた。 それだけで俺は嬉しくて、幸せだった。 ――15分の上映はあっという間に終わり、ミケは笑顔で「すごいね」と何度も言っている。 その姿が可愛くて、ミケの頭を優しく撫でた。 そのあとは、星についての資料が展示されている所をゆっくりと見て回っていると、時間はあっという間に過ぎていて、辺りは暗くなっていた。 今度はミケと一緒に流星群を見れたらいいな。 熱心に流星群の写真を見つめていたミケを思い出す。 丸い大きな瞳が輝いていて、久しぶりにミケのそんな姿を見れた気がする……。 「ミケ、お腹空かないか?」 バスの停留場で俺は隣に立つミケに話しかける。 「そういえば、お腹空いたかも…」 ミケは自分のお腹をさすっている。 「何か食べに行こう。ミケ何か食べたいものあるか?」 「うーん……あっ、ぼくあれ食べたいかも…!」 ミケが手を叩いて俺の方を見上げた。 ――――バスに乗り帰ってきた俺たちは、ミケが行きたいと言ったカフェへと着いた。 「ぼくここのナポリタン食べてみたいと思ってて……」 ミケはつばきと一緒に来れてよかった、と嬉しそうにしていて、笑みが溢れる。 ミケのそんな一言にすぐ反応してにやける。自分でも単純だなーと思う。 俺は水を持ってきた店員さんに、二人分のナポリタンを注文した。 しばらくしてやってきたナポリタンは、鉄板に入っておりジュージューと熱そうな湯気がたっている。 「……うわあーすごい…!目玉焼きまでのってる!」 「美味しそうだな」 「うん!」 ミケが満面の笑顔で頷いた。 ミケのこんな表情初めて見るかもしれない。 俺はミケの笑顔を目に焼き付けた。 「いただきます」と二人で手を合わせ、熱々のナポリタンをフォークで巻きつける。 「――おいしい!」 ミケは笑顔でナポリタンを食べ進めている。 上にのっている目玉焼きを丁寧に避けながら食べているミケに、「目玉焼きの黄身つぶして一緒に食べても美味しいぞ」と言うと、ミケは恐る恐るフォークでつぶして麺と一緒に口に入れた。 「なぁ、美味しいだろ」 大きな瞳を見開いてこちらを見たミケ。 口角は幸せそうに上を向いている。 いつまでもミケとこんな風に一緒に過ごせたらいいなー。 ひと時の幸せをかみしめていた俺はすっかりシズクでミケに執拗な目線を、そして俺に鋭い視線を向けていた男の存在は頭の奥底から消えていた………。

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