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危ない………。 反射的に思いっきり目を瞑る。 ぼくのせいで……ぼくがいるせいで芦屋くんに危険を及ぼしている……。 「──────こんなところで何してるんですか?」 少し低めの心地よい声。すーっと耳に入るこの声。 ゆっくりとまぶたを開く 「………つ、ばき……?」 そこには、芦屋くんに向けて振り翳そうとしていた紫村さんの腕を握っているつばきがいて───。 「警察呼びましょうか」 ポケットから黒色のスマホを取り出し電話を掛けようとしている。 紫村さんの腕をスマホを持っていない手でがっちり掴んでいる。 身動きがとれないようで逃げようと試みていた紫村さんも、諦めて呆然と立ち竦んでいる。その間につばきは素早く紫村さんが持っていたナイフを地面へと落とす。 ───それからまもなくして、制服を着た警察官によって紫村さんは連れていかれた。 安心からか一気に体の力が抜ける。 本当に………つばき……だよね? ぼくはじっとつばきをみつめる。 「……えーと…みけくん、この人は知り合い?」 沈黙を破るように芦屋くんがぼくに尋ねる。 ぼくはそれに小さく頷く。 つばきは黙ったままぼくと芦屋くんを交互にみていたがそれをやめ、ぼくの方をまっすぐみる。 「………ミケ、よかった無事で……」 小さく微笑んだつばき。 あの日───駅前で見かけたつばきより、少し痩せているようにみえる。 ………つばき優しいから……。ぼくのこと心配していたんだ……。 ぼくはそんなつばきの姿に思わず「ごめん」と呟いた。 「……なんでミケが謝るんだよ。俺こそミケが怖い思いしていたことに気づかなくてごめんな。あの男がシズクに来ていたこと知ってたのに………」 「ううん。つばきは何も悪く無い!」 つばきはずっと自分のこと責めていたんだ……。 ぼくのせいで……。 思いっきり首を横に振って否定したぼくの頭をつばきがポンポンと撫でる。 つばきの手のひらが温かくて、涙が止めどなく溢れてくる。 「…………ぇーと…俺、今すっごく邪魔だろうから、先帰ってます!」 芦屋くんがぼくの横で控えめに発言する。 「いや、俺がこの場を離れるよ」 つばきはぼくの頭に乗せていた手を退かす。 「いやいやあんたはみけくんと一緒にいろよ。知り合いなんだろ?」 つばきはまっすぐ芦屋くんを見つめ、「───君はミケの恋人なんだろ?」と小さな声で発する。 その声が微かに震えていて……。ぼくは慌てて否定しようとする。 だが、ぼくが否定する前にに芦屋くんが思いっきり首を横に振り否定をした。 「………そう、なのか?」 つばきが芦屋くんからぼくへと視線を移し尋ねたので、ぼくはそれに首を大きく縦に何度も振る。 「────それに俺好きな人いるし……」 芦屋くんが小さく呟く。 ぼくは芦屋くんのその言葉に「そうなの?」と思わず聞いてしまった。 「えっ、えっ、あっ…!」 自分の口を両手で押さえている芦屋くん 芦屋くんの顔がすごい早さで真っ赤になっていく。 「─────まぁそういうことなので……俺は先に帰るわ!」 芦屋くんは手で自分の顔を仰ぎながら早口でそう言うと、足早でぼくたちから離れていった。

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