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 つばきの部屋へと着いた僕はつばきに、昨日のように無理やり浴室に連れて行かれ、シャワーを浴び、つばきが用意してくれたスウェットを着て、ソファーに座ってるつばきに近づく。 「こっち来い。髪乾かすぞ」  ソファーに正座したつばきは、隣をポンポンと叩く。  僕は大人しくそこに座ると、つばきはドライヤーで髪を乾かし始めた。  つばきのこうやって優しく梳かしてくれる指先が好き。  長くてボサボサしている汚い僕の髪の毛が、つばきが梳いてくれてるだけで、綺麗でツヤのある髪に変貌したみたいに錯覚する。 「よし。終わり。あとはこれで……」  ドライヤーを切り、机の上に置いてある黄色い星の飾りがついたゴムで僕の前髪を結ぶ。 「お、似合ってる似合ってる」  満足気な表情のつばき。 「そのゴム、ミケに似合いそうだなと思って買ったんだけど、やっぱ似合ってるな」  上にピョンとあがってる前髪を指先でチョンチョン弄り始めたつばき。  思う存分、僕の前髪を弄ったつばきは、立ち上がりキッチンの方へ行った。 「安くなったやつだけど」  スーパーの袋を持ってこちらに戻ってきたつばきは、ソファーに座り袋の中から、3割引のシールが付いたのり弁当を取り出した。 「小学生のミケは、もう少し栄養のあるやつのほうがいいんだろうけど……」  割り箸を割って、僕に渡した。 「………あのぉ…僕小学生じゃないけど……」  未だ小学生と勘違いしているつばきを見ずに呟いた。 「はぁ!?違うの!?」  余程驚いたのか、弁当の容器を持ったまま固まっているつばき。  確かに僕、背ちっちゃいけど…… 「僕、一応中学3年なんだけど…」 「まじ?てっきり小学生かと思ったわ」  つばきは目を見開いたまま、独り言のように呟く。  ちょっと失礼じゃないかな、それ…  僕はつばきの座ってる反対側を向いて、のり弁当を食べる。 「そういえば俺の年齢言ってなかったな。俺は、高校2年。16歳」 「……え」  思わずつばきの方を見てしまった。  高校生……!?  大人っぽいから全然見えない… 「何その驚き方。俺、老けて見えるの?」 「老けてというより、大人っぽいから……」  僕は箸でご飯を掬いながら食べる。 「なんだ、褒めてくれたんだ」  にこっと笑ったつばき。 「てか、ミケ箸の持ち方、変だな…。こうやって持ってものを挟む」  つばきは自分の割り箸を持って、ちくわの磯辺揚げを挟んだ。  僕はそれを見つめ、つばきが持っている持ち方を見よう見まねで真似する。 「そうそう。そんな感じ」  なんとか箸で物を掴めた僕に笑顔で褒めるつばきに、くすぐったい気持ちになる。  僕はそんなくすぐったい気持ちを誤魔化すように、のり弁当を口の中にかき込んだ。

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