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「……つばきの瞳の色、この色みたいで綺麗だね」
突拍子もなく言ったミケは、俺のコーヒーを指差した。
「この瞳好き。あ、でも髪もこんな色だね。つばきの髪もさらさらして好き」
俺の前髪に小さい手が触れた。
アシメで切っている俺の重ための前髪を嬉しそうに撫でている。
「そんなの、俺もお前のその綺麗で真っ黒な髪好きだぞ」
お返しでミケの長い前髪をかきあげ、顔を見せる。
睫毛はまだ少し濡れてるが、完全に泣き止んだミケは真っ赤な顔をしている。
「つばき、平気でそんなこと言うから照れる」
真っ赤な顔で口を尖らせてる。
そんなのお前もだろ。
「ったく。ほらそれ飲んだらベット行けよ」
俺はコーヒーを一口飲み、テキストを読む。
「……つばき…一緒に寝よ…?」
ミルクのマグカップを両手に持ち、俯きがちに言ったミケ。
そっか。こいつ怖い夢見たんだもんな。
ひとりで寝るのは、寂しいか。
俺は頭を優しく撫でながら、「仕方ねーな」とぶっきらぼうに答えた。
「ありがとう」
嬉しそうに笑顔に戻ったミケに優しく微笑む。
ベットに来たはいいが、シングルベット。
ミケがちっちゃくても、流石にふたりで寝るのはキツいかな…
「つばき、早く」
先にベットにあがっているミケ。
俺も仕方なくベットにあがり、左側に寄って寝っ転がった。
そんな俺を見て安心したのか、ミケも隣に横向きで蹲って寝る。
「おやすみ」
俺はミケの寝ている反対側を向いた。
さっきまであんなに眠たかったのに、コーヒーを飲んだから眠気なんて覚め、ぱっちり目が開いたままの俺。
ミケはもう寝たかな…
俺は寝返りを打って、ミケの顔を見ようとした。
「…うわっ!ミケ?」
いきなり抱きついてきた。
「つばき…こっち見てよ…寂しい」
俺の背中に抱きついたまま、小さい声で呟いた。
「わかったわかった。だから、この手を離せ」
抱きついてるから、寝返りも打てないし。
ミケは大人しく抱きついていた腕を離してくれたので、寝返りを打ってミケの寝ている方を向いた。
俺の胸にあるミケの頭。
優しく抱きしめ、背中を優しく摩る。
そんな俺に安心したのか、すぐ寝息を立て始めたミケ。
鼻腔を霞める俺と同じシャンプーの香り。
胸の中にいる猫みたいな小さな男の子を愛おしく思う。
俺もゆっくり目を瞑った。
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