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 つばきが僕のことを好き…。  いや違う。つばきの好きは弟みたいで…  弟として好きなんだ。 「僕も温かくて優しいつばきが好き」  ますます赤くなるつばきの耳。  完全に俯いていて顔は見えないけど、きっと赤くなっているんだろうなー。 「……はいはい。ミケの好きは―――」  最後はごにょごにょと吃りながらだったので、完全に聞き取れなかった。  つばきをひとりの人間として好き。  これから、もし様々な人と出会っても、つばき以上に好きになれる人なんていないと思う。それぐらいつばきのことが大好きだ。 「よしっ!ケーキ食べるぞ!」  ぼーっと俯いているつばきを見ていたところで、急に立ち上がったつばきとばっちり視線が重なった。  そんな僕に優しく微笑み、冷蔵庫からさっき買ったケーキを取りに行くつばき。  生クリームにいちごとチョコレートのプレートと赤色服を着た白いひげのおじさんの人形が乗ったケーキ。  そっか。クリスマスって鷄――つばきの言うチキンを食べて、ケーキまで食べて、こんなに楽しいひと時を過ごす日なんだ。  またつばきのおかげで知らないことを知ることできたな。  それに、つばきの照れた顔も見ることができた。 「ミケには特別に、このプレートとサンタをつけよう」  そう言い、綺麗に三角に切り分けたケーキを皿にのせ、上にプレートとおじさんの人形をのせる。  チョコレートのプレートには白い文字で、Merry Christmasと書かれている。 「ねぇ、つばきこれ何て書いてあるの?」  自分の分もお皿に取り分けたつばきに、プレートに書かれている文字を指差して聞く。 「あぁー。そっか。ミケ英語わからないよな。これはメリークリスマスって書かれてるんだぞ」 「メリークリスマス?なんかひらがなでも漢字でもない文字が書かれてるからちょっとびっくりした」  僕は視線をケーキからつばきの顔に移した。 「……どうした、つばき」  つばきの表情は先程までの笑顔から一変して、難しそうな顔で眉間にも若干しわが寄っている。  なんか怒らせるようなこと…言ったかな…  自分の言動を振り返ってみたけど、思い当たるようなことは何もない。  そんな僕の不安そうな顔が目に入ったのか、慌てて眉間のしわを和らげたつばき、目尻の下がった笑顔を浮かべる。 「ミケ、アルファベットもわからないよな…。今度、一緒に勉強するか」  …アルファベット?  アルファベットってこのプレートに書かれてるやつだよな?  知らないことをまた知ることできる。  それにつばきに教えてもらうなら嬉しい。  僕は「うん」と思いっきり頷いた。 「ほらケーキ食べよう」  自分のケーキにフォークを刺して食べ始めるつばき。

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