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「俺さ、ちっちゃい頃このサンタの砂糖菓子食べるの好きだったんだよ」
チョコプレートまで食べ、最後に残った人形を見つめている僕につばきが言った。
「これって食べれたんだ……」
てっきり飾りか何かだろうって思ってた。
だからどうしようって今考えてたんだけど。
「おぉ。甘いぞ」
笑顔でそう答えたつばき。
「でも、つばき好きだったならつばきが食べたほうが……」
「いいからいいから。今日は特別。ミケにやるよ」
皿をつばきの方にやろうとしていた僕を制止したつばき。
うーん。まぁそう言うなら…。
僕は恐る恐るおじさん人形を齧る。
「…甘い」
ケーキよりも甘いおじさん人形。でも美味しいかも。
「これが子どもの頃好きだったんだよ」
無邪気な笑顔。
つばきの子供時代もこんな感じに無邪気な笑顔をたくさん浮かべてたんだろうなー。
子供の頃のつばき見てみたいかも。
今みたいに低い声じゃなくて、子供の声で、今よりも断然幼い風貌のつばき…気になる。
「あっそうそう。これプレゼント」
子供時代のつばきを想像しながら食べていたおじさん人形も食べ終わり、お腹いっぱいになりソファーの背もたれにだらーんと座っていた僕の後ろに回ってきたつばき。
首筋に何か冷たいものが触れて、うなじにはつばきの温かい指が当たる。
「はい」
そう言い離れたつばきの指。
「…………星」
「そう星。ミケに似合うと思って。ミケ、星好きだしな」
首についている銀色のチェーン。真ん中には小さな星がついている。
僕はその星に触れてみる。
「うんうん。やっぱ似合ってるよ」
僕の隣に座ったつばきが笑顔で何度も頷いている。
「………クリスマスってこんなにも幸せな日、なんだな…」
思わず呟いてしまった言葉。
そんな僕の声は聞こえたつばきは笑顔を浮かべたまま「そうだよ」と答えた。
「でも僕、つばきにプレゼントなにも用意してないや…」
バイトはまだ始めたばかりで、お金はないから何も買えないしな。
「いいんだよ。今日は、というか毎日ミケは俺の好きなもの作ってくれるし、ミケがいるだけで俺にとってはプレゼントだから」
つばきのプレゼント、どうしようか考えていた僕の頭を優しく撫で、髪まで指で優しく梳かすつばき。
「だから気にすんな」
最後にポンポンと撫でた手のひらが僕の頭から離れた。
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