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灰色生活に幸せな年末年始を
クリスマスパーティーから1週間が経った。
つばき曰く、今日は大晦日。一年の最後の一日らしい。
昨日の夜、そんな日があるとも知らなかった僕に優しく教えてくれた。
今日、大晦日はつばきもバイトが休み。
一日家でゆっくりする予定で、部屋着のまま、机に向かってテキストを解いているつばきの隣で、僕も漢字ドリルと計算ドリルを解いている。
だいぶん解けるようになった計算式。
でもまだ少し分からない部分もあって、解いていた手が止まる。
つばきに聞こうかな…。
でも、今つばきも問題解いているところだろうし…。
僕は隣のつばきの手元をこっそり覗いた。
見たこともない数字と、この前のクリスマスのケーキに書いてあった、アルファベットという文字が並んでいる問題をスラスラ解いているつばき。
すごいなー。
こんな暗号のようなものをスラスラ解けちゃうつばき。
「………つばきは頭いいんだな…」
「えっ」
思わず出てしまった言葉に、反応したつばきは解いていた手を止め、僕の顔を凝視している。
うわわ、思わず声に出してしまってたんだ…。
「何でもない。気にしないで!」
僕はつばきの視線から逃げるように、ドリルの続きをしようと鉛筆を持った。…けど、この問題分からなかったんだ…。
「ミケ、この問題分からないのか?」
鉛筆は持ったが止まったままの僕を見て、優しく聞いたつばきは僕にそっと近づいた。
「ぅーんと……うん…」
結局、素直に頷いてしまった僕の頭をポンポンと撫でて、丁寧に解き方を教えてくれたつばき。
「……解けた!」
「そうそう。正解」
やっぱり、つばきは教え方がほんとに上手だ。
「ミケも頭いいぞ」
「……え」
「俺が教えたら、すぐ理解して解けるだろ?」
「……それはつばきの教え方が上手だから!」
つばきのおかげで、全然意味の分からなかった、掛け算、割り算分かるようになったし、それに、日常生活でも分からないことがあると何でも教えてくれる。
「つばきは教師だっけ…?学校の先生が絶対に向いてると思う」
僕はつばきの方に体ごと向け、真っ直ぐつばきの顔を見た。
「……えーと…ありがとう…」
そんな僕の視線を逸らすように、目線を下に向けたつばき。
でも、ちらっと見えた顔は赤くなってる。
そんなつばきをじーっと見つめる。
「…そんなに見るなよ。ますます照れるだろう」
下を向いていた顔を上げたつばきは恨めしそうに口元を尖らせている。
大人っぽいつばきの子供な表情に笑みが溢れた。
「あぁーもう。テレビ観よう、テレビ」
そう言いテキストを閉じたつばきは、テレビを付けた。
「そうだ、今日は大晦日だから、紅白があるぞ」
「…こうはく?」
なんだろうそれ?
「紅白歌合戦。赤と白に分かれて、歌手が歌を披露していって、最終的にどっちの色がよかったかって競い合う番組だな」
「へぇー」
そんな番組が大晦日にはあるんだなー。
「ほら始まってる」
チャンネルを紅白という番組に変えたつばき。
僕もドリルを閉じ、テレビを見た。
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