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第12話
さり。
さりさり。
ガートの舌は、ネコ種の舌。
「ひゃぅ……ん、あ…」
「痛い?」
「あつい……の。おかしくなる……」
「いいよ。いくらでも、おかしくなって……みせて、紅さま……」
ちゅ、ちゅ、と、胸の頂に口づけが落とされる。
脇の下を舐められて、気が遠くなりそう。
自分でもわかるくらいに、甘い香りが湧き上がる。
「ああ……紅さま……」
「ダメ……さまいらない……あ、ん……」
唇から始まった愛撫。
指で全身を撫でまわして、唇でついばんで、舌で舐めまわして。
噛んで、つまんで。
足指の先まで愛されて、また、初めから。
溶けてなくなりそう。
気持ちい。
「あ……がーと……がーと、も……あ、ん…ゃ、して……」
紅のお願いに、ガートは笑うだけで答えてくれない。
脚を抱え上げて、間を舐めまわす。
ほろほろと泣きながら、初めて白い液を吐き出した。
楽しそうにそれを舐められる。
「おいしい」
ガートが蕩けるように笑った。
オメガのものは、勝手に濡れる。
身体の奥から、ガートが欲しいと液が出る。
ガートはそれも楽しそうに舐めとって、指を入れてゆらゆらと動かす。
ねえ、ねえ、力が入らないの。
ガート。
欲しいの。
埋めて。
ひとりでさみしかったの。
藍もガートもいなくて、どうしようもなくて。
「ちょ……だい。がーと……も、ほし……」
「紅……かわいい紅……ネコ種のは、痛いかもしれない……初めてでつらい思いはさせたくない…」
「ダメ……ガートは、紅の……でしょ? ちゃんとして……そして、名前をつけて……」
「紅」
違う。
違うの、ガート。
紅は御館の呼び名。
「ガート」
わかっているよというように、ガートはうなずいて、紅の身体を圧し拓く。
「あっ……あ、ああ…あ……」
「グラナーテ」
ぐいぐいと腰をおし進めて、行き止まって。
身体全部で、抱きしめてくれながら、ガートは耳元でささやいた。
「ぐらなーて?」
「あなたの、もともとも名前……」
「嬉しい……それが、ホントの名前になるのね?」
「そう。オレの、グラナーテ」
ガート。
グラナーテのガート。
大好き。
好きにして。
あなたはもう、グラナーテのもの。
そう答えたら、後はもう、胸がいっぱいで、気持ちがいっぱいで、めちゃくちゃに振り回されて、気持ちよくて、溶けてしまった。
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