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第22話
たとえお互いのことが好きでも同意がなければ行為はしない。それでも、同じ布団にアルファとオメガが入っていれば否応無しに互いの身体は反応してしまう。
ただでさえ好きな相手。樹の身体からはUboatで飲んでいる時より遥かに多くのフェロモンが出てしまい、それにあてられた岬生も興奮状態に陥ってしまう。
したいわけじゃない。オメガの身体を持て余した状態で、樹は岬生から少しでも離れようと身体を捩らせる。
「あんまり動かないで」
背後から樹を抱きしめるようにしてきていた岬生の囁きに、思わず腰が跳ねる。一度も触れられたことのない場所が、熱く疼く。
ヒートの時期はまだなはず。抑制剤だって飲んでいる。それでも、自分を抱きしめて来ている圧倒的なオーラを放つ雄に、発情が止まらない。
樹はもう、我慢できないからと岬生の腕を掴んだ。
「岬生さん、あっち、行っててください」
「嫌です。俺のことただ優しい狼だと思ってたみたいだけど、ごめんね。俺も怖い狼なんだ」
絶対に頸は噛まない。発情期を迎えた樹の腕に噛みつき、大きな口で頭を軽く覆うように食む。狼なりの愛情表現なのだろうけれど、言動から食われてしまう恐怖が襲った。
発情したオメガの匂いに、アルファである岬生は自我を保つのが精一杯のようだ。たった1枚肌を隠していたTシャツの下に腕を通し、了承もなしに上までずり上げる。
「嫌でも、逃してあげられない」
自分以外誰も触れたことのない身体。腕や肩、腹に噛み跡をつけながら硬い肉球が欲望に触れる。零れる吐息は甘い艶を持ち、益々目の前のアルファの興奮を促していく。
これが最後だから。もうこれで岬生とは会えなくなる、最後に好きな相手に抱かれて終わりだ。
気持ちいい。優しい手つきに整えられた丸い爪が胸にある飾りを掻き、腰が何度も跳ねる。自分で触っても気持ちよくないのに、岬生に触れられるだけでこんなにも頭が真っ白になってしまう。
譫言のように、樹はそれ以上を求め呟きながら岬生に縋り付いた。
「みさきさん、もっと、はやくほしい」
「駄目だよ。痛いのは嫌でしょ」
アルファとオメガなんだから、程々にすればそれでいいのに岬生はその言葉を受け入れない。
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