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第5話
仕事が終わり、レイの様子を見にきたアレクは、レイの身に起きた惨状を知り、呆然と立ち尽くした。
「先生……ごめん。……俺、汚れちゃった……」
奴らの精液を。
何度も何度も中に出されて。
でも、許せないのは自分だ。
Ωとしての性 だ。
硬いぺニスで貫かれ、入れ替り立ち替り中出しされる度、体は悦こんでいた。
奴らの精液が体の火照りを鎮めてくれた。
アレクにしか発情しないはずの体は、己の意志を裏切ってよがり狂った。
その事実がレイを苦しめる。
「ああ、レイ。……レイ、何も言わなくていい」
アレクはレイの体を優しく抱きしめた。
レイをこんな目に合わせた奴らに、体が震えるほどの怒りがあるが、まずはレイの介抱が先だった。
狼獣人の柔らかい毛並みにレイはホッとする。
アレクはレイに避妊薬を飲ませると、抱き上げて浴室へ連れていった。
熱いシャワーでレイの体は清められる。
「辛いだろうが、我慢してくれ」
アレクはレイのアナルにそっと指を押し込んだ。
獣人の武骨な指に精液を掻き出される度、レイの体はまた火がついたように体が熱くなった。
「先生……。俺は先生が欲しい。お願いだ。俺を抱いて……。卒業したら、先生のことは忘れる。もう、求めたりしないから……」
リノンの海のような蒼く美しいレイの瞳。
欲望の懇願に揺れても、その瞳は美しいままだった。
アレクは観念したように一瞬だけ眼を伏せる。
そして、再び狼の双眸を開いた時、そこには燃えるように熱い意志と固い決意が宿っていた。
「本当なら、せめてお前の卒業を待つつもりだった。でも、もう待てない」
アレクの真剣で温かい眼差し。
「レイ、私もお前が好きだ」
「えっ?」
レイはアレクの告白に眼を見開いた。
「私には想い人がいると言っただろう。少しだけ昔話をさせてくれないか?」
体は熱いままだったが、レイはアレクの話に耳を傾ける。
「20年前のΩ解放運動のことは知っているな」
レイの生まれる少し前、Ωの人権尊重と地位の向上を求めて運動が起きた。
今まで悲惨な扱いを受けてきたΩ、そして支援と擁護するαたちが現れ、リノンの街だけでなく、国全体にΩ解放運動は広がった。
熱を帯びた民衆はやがて暴動へと発展し、軍との衝突になり、Ωにもαにも犠牲者が出たという。
「そのΩ解放運動の中に、私の恋人がいた。名前はリビトと言った。人間のΩだったが、Ω解放運動で命を落とした。ずっと、彼のことが忘れられなかった……」
アレクの悲しい告白。
「この学園に来て、初めてお前を見た時、眼を疑ったよ。あまりにレイがリビトに生き写しだったから」
「俺に似てる?」
「ああ、気になってしょうがなかった。眼が離せなかったよ。だからといって、リビトの代わりにレイを好きになったわけじゃない。お前にはリビトにはない強さがある。生命力とでもいうのか。年の差ももちろんある。でも、私はお前が好きだ……」
アレクは43歳。レイは18歳。
本当なら親子でも通りそうな年の差だ。
だが、レイがアレクを好きなように、アレクもまたレイに惹かれ愛していた。
「俺は先生に教えてもらった。Ωの俺をありのまま受け入れてくれたから。先生を好きになった。だから、お願い。もう、シて……」
我慢できない。
ふさふさの柔らかい首元に、レイは腕を回す。
長い鼻先にキスすると、アレクはレイの体を抱きしめ返した。
アレクはレイを浴槽の縁に手を付かせると、レイの腰を引き寄せ、アナルに熱い楔を打ち立てた。
痛みではなく、純粋な快感がレイの体の中心を貫く。
「アッ、あああ……っ」
気持ち良さから、レイは背筋を仰け反らせ、勃ちあがったぺニスから白濁を放った。
打ち付けては引く腰の動きの激しさ。
力強い律動を肛内に刻んで。
エクスタシーの連続に意識は昇りつめていく。
互いの興奮に任せるまま、アレクが不意にレイのうなじをガブリと噛んだ。
「あああっ……!」
狼の鋭い牙が人間の薄い肌に食い込み、鮮やかな血が白い肌を伝い落ちる。
「あっ、ああッ、あああぁぁっ……!」
うなじの噛み傷は番としての証。
番になると、体の構造すらも変えてしまうのだろか?
血が沸騰するかのような体の熱さ。
そして、レイにもアレクにも急激にフラッシュバックするようなひとつの記憶が蘇る。
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