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第65話 先生と、イケナイこと

「初めまして。社長の相馬文彦といいます」  もう一年経ったんだなぁ、なんて。毎年この時期になると感慨深い思いになる。  夏休み中のオリエンテーリングとしての職業体験、去年と同じ中学校からまた数名が一週間織物業の製造体験に来ることになっていた。  男の子が三人、女の子は今年は二人。指定されたとおりに汚れてもいい服、エプロン、それと髪が長い時はしばって……いない子が一人いた。  中学生だもの。  ファッションとかさ、可愛い格好をすごく意識する年頃だろう。しばったりしたら、髪がぺしゃんこになってしまう。肩から十センチほどの長さにあるサラサラの髪はとても柔らかそうで、しばって跡がつくのもきっとイヤなんだと思う。 「ごめんね。髪、織り機にもしも巻き込んじゃったら、ものすごい大事故になってしまうんだ」  だからこれを使ってもらってもいいかな? と、その女の子に和柄の布切れを手渡した。  ゴムの代わり。うちで作った織物の切れ端をね、編みこんで手製のゴムにしたんだ。 「この手製のゴム紐もうちの織物なんですよ」  髪を縛りたがらなかったその子はじっと紐を見つめていた。 「これね、三本の布をゴムみたいになるような編み方で編んだんだ。輪ゴムみたいな収縮力はないけど、髪くらいならくくっておけるから」 「……」 「で、こっちが三角巾」  それもうちの織物の切れ端。去年までは持ってきてもらってた。けど、去年参加していた女の子も外見を気にして、少しイヤそうにしてたから、今年からちょっと変えてみた。今年は五人、なので、五枚。それぞれ別の柄で、男の子も使いやすいような男性用の和柄も用意して。 「これは今日から一週間使っていただいて、最後、記念に持ち帰ってください」  そしたら、楽しいかなと。  五人に選んでもらってさ。そしたら、髪をしばることにも抵抗をしていた女の子も楽しそうに和柄の布を選んでいた。赤いビビットな牡丹柄。もう一人の子は古典柄だけれど色がとても鮮やかだった。  男子もそれぞれ選んで、お互いの選んだ布と見比べながら、三角巾にしてくれた。 「それじゃあ、大丈夫かな。こういう和柄の布、ですね。ちょうどハンカチくらいのものを作ってもらおうと思ってます。かなりピッチ上げていくので頑張ってください」  ちょうどその時だった。 「えーと、まず、織物業、というのは……」  皆が身支度を整え終わった時、出入り口のところから郁がひょっこり顔を出して、僕を見て笑っていた。 「糸と糸を重ねて一枚の」  今、郁も夏休み。専門学校への片道二時間、合計四時間の通学はいったん休止。うちの手伝いをしつつ、自分の課題にも取り組んでいて、それなりに多忙な専門学生だ。  笑った郁に微笑み返して、僕は中学生へと、自分の仕事の説明をそのまま続けた。 「なんか、去年より手馴れてたな」 「郁の真似」  去年、織物の切れ端を女の子にあげてたでしょ? あの時、彼女、すごく嬉しそうにしてたから。 「……あぁ」  今年はちょっと工夫してみたんだ。 「そんで? 何? それ副業にでもすんの?」 「んー? それも、いいかもね。えっと……右のを下から上に……で」 「ちげーよ。こっちの下から上に、だろ」  なるほど。座椅子と化した郁が背後から僕を抱きかかえたまま、手に手を重ねて、紐を簡単に編んでいく。長い指が僕の不器用な指に絡まりながら、するりするりと滑り肌触りの良い布切れを、あっという間にゴム編みしていく。 「で? マジで、何してんの?」 「んー、練習。今日さ、昼間、えっと」  今度はこっちからこっちに布を。と目の前に立てかけたスマホの中で淡々と進んでいくゴム編みの手順動画とにらめっこをしていた。また違っていたらしい。郁の指がまたどんどん編んでいく 「女の子に編み方教えて欲しいって言われたんだ」 「へぇ」 「でも、前にやったのは覚えてなくて。っていうか一回じゃわからないよ。なんで郁わかるの?」 「天才だから」  すごいな。僕は一度見たはずの動画なのにちんぷんかんぷん。 「俺の文はすげぇ優しい」 「?」 「あと、可愛い」 「何、突然っ……ン」  後ろから抱きかかえられ、その脚の間に座っていた僕は首筋をくすぐる吐息に指が止まる。 「先生……」 「ン、ぁ……ン」 「手、止まってる」 「ん、だって……ぁ」  覚えておかないといけないんだってば。せっかく良い感じに今日中学生に教えられたのに。 「ぁ、ン……郁っ」 「こっちから紐を取って、右のと交差させて」 「ぁ、あっ」 「ね、先生……早く、してよ」 「ん、もぉっ」  からかわないでよ。って、肩を竦めて、悪戯をする背後の郁を叱ったけれど。手を重ねて郁は気にもせず、指を意識的に絡ませた。動画とは全然違う、性的で、官能的に指と指が触れ合って。 「はぁっ……ン」 「先生?」  やらしい声、しないで。 「どうしたの? 先生」  やらしい事を、したくなる、でしょ。 「も、郁っ」 「何? せっ、……」 「ン、ん」  背中をよじってキスをした。 「ン、い、くっ……ンん」  舌で唇を濡らして、開けてとねだって。 「ン、んんっン、ぁっ、ンっ」  どっちの指なんだろう。 「ぁ、ン、それ……郁っ」  僕の硬くなった乳首を摘んでカリカリって、可愛がってくれているのは。 「気持ちイイ? 先生」 「ぁ、あっン、すごく、気持ちイイ、よ」  絡まる指に感じてしまう。郁が触ったらどこでも気持ちイイから、ほら、指がもう気持ちイイの。自分の指なのか、郁の指なのか、押し潰して、可愛がってくれるどちらかの指にただ乳首が悦ぶ。 「郁……」 「っ、文」  ね? 気持ちイイでしょ? 「すげっ、それ」  片手は繋いだまま、身体をくるりと郁の側へと向けて、ずっと腰に当たっていた硬いペニスを服の上から撫でた。 「郁っ……ン、ぁっ、ン」  すごく硬いペニスを撫でながら、すごく硬くなった乳首を摘まれて、柔らかい舌を貪った。 「文……」 「ここも……撫でて?」  そうねだって捕まえた指を、ヒクつくそこに、押し付けた。

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