ハクが部屋から出て行くとヴァシュカは恒輝の額にその鼻面を押しつけた。それに増して甘い香りに包まれる気がする。 「このままでは辛いだろう。今、楽にしてやる」 「や……だ、なに……」 「嫌がることはしない」 　深く甘い声が響き、鼻先を今度は恒輝の首筋に埋め感嘆するように息を吐いた。 「やっとこの手に抱きしめられた。……お前は温かいな」 　呟くように言ったヴァシュカの触れるところがさっきの比ではないくらいに熱く、びくびくと身体は勝手に震えた。そしてまた身体の奥から何かが溢れ出た。 「ふっ、あっ……」 　まるで溶けてしまうかのようで怖くて逃げ出してしまいたいと思うのに、同時にもっと触れて欲しいとも思ってしまう。 　ヴァシュカの指が身体に触れるたび、その毛並みが頬を掠めるたび、その声が耳に響くたび、ましてや見え隠れする牙に噛みつかれたいなんて思うなど、どう考えてもおかしいのに身体の奥が熱く疼き、震えるのを止められない。 「我慢しなくていい」 　無意識に膝を擦り合わせているとヴァシュカの手がかかった。 　器用にベルトが外されて、抵抗するにもうまく力が入らないこの身体ではあっさりと下着まで脱がされてしまう。 「ま、って……や、や……」 　そこは意思とは関係なく芯を持ち先からは透明な蜜を垂れ流していた。 　ヴァシュカはそれを手のひらでゆっくりと撫で、包むようにして上下に扱くと今までに感じたことのない快感が駆け巡った。 　今までだって経験がないわけではない。それなのにただ触れるだけで蕩けてしまうかのように感じるような経験はしたことがなかった。ましてや自分からこんな声が出るなんて。 「んっ、ん……んぁ」 　擦られるだけで達してしまいそうなのに、今度は脚を開かれようとして焦ってしまう。 　咄嗟に膝を擦り合わせ堪えようにも力の入らない身体ではどうしようもなく、呆気なく脚を大きく開かされてしまった。するとヴァシュカは目を細めた。 「濡れているな。身体は私を求めているということか」 　何を言っているのかと思う。女性ではないのだから濡れるわけない。ーーそう、思っていた。 　しかしヴァシュカの指は割れ目をなぞりぬるりと滑って、ぐちゅっと音を立てて何の抵抗もなく奥へと入り込んでくる。 「う、嘘……。はぅ……んぁ、ああ……」 　恒輝はさらに混乱しながらヴァシュカの腕にすがりついた。 「ど、うして……んぁ」 　まるで自ら濡れているようでおかしいと思うのに、ヴァシュカが中をかき混ぜるように押し広げるたびにとろりと中から溢れ出す。 「んぁ、あ……あっ、あぁ」 　同時に怒濤の快感が押し寄せ、指を増やされても痛みはないどころかさらに感度が増していく気がした。そして恒輝のそこはヴァシュカの指を締め付け、もっと奥へ奥へと擦り付けて欲しいとすら思う。 「ヴァ、ヴァシュカぁ……んぁ、ああぁ」 　怖くて堪らないのにもっと奥に欲しいなんて、もうどれが自分の本当の気持ちなのかもわからない。 　しゃくりあげながら爪を立てる恒輝を見て、ヴァシュカは恒輝の唇を舐めた。 「コウキ……」 　そして先端を上下に擦られながら、中をかき混ぜられるように動かされるとぎゅっと脚に力が入る。その瞬間、指を奥まで突き入れられて、一瞬にして頭の中が真っ白になった。 「あああぁ！」 　恒輝は自分の腹をべっとりと濡らしながら快楽の余韻にびくびくと震え、まだぎゅうぎゅうとヴァシュカの指を締め付けた。 「……っん、ん……」 「まだ熱が冷めないだろう……」 「ま、待って……今、イッて……んぁ、あぁ」 　ヴァシュカは恒輝の制止など気にせず、それはその後も恒輝が意識を手放すまで行われたのだった。