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第7話
◇
「え……ここは、どこなんだ?」
次に目覚めると、見知らぬ天井が見えた。
(どうしたんだっけ。確か俺は職場のビルの前の道路に立っていて、激しい頭痛とめまいの後……ヴァシュカと……)
思い出すと同時に頰がカッと熱くなる。そして、はっとして恒輝はシーツを剥ぎ取り自分の身体を確かめた。
着替えさせられたのかビジネスホテルのパジャマのような簡易的な服を着せられているが、股は濡れていなかったし、後ろの方にも違和感は感じない。
きっと夢だったのだと恒輝は安堵したが、依然としてここがどこなのかはわからなかった。
部屋は中世のヨーロッパを思わせるような豪華な内装に煌びやかなシャンデリア、そして床には美しい絨毯か敷かれている。
気を失っている間に誰かが運んでくれたのだろうか。
立ち上がろうとするとまた頭に鈍い痛みが走り、恒輝はこめかみを押さえた。
すると恒輝の視界にひょこっと何か動物の耳のようなものが動いたのが見えた。目で追うとそこには頭から上が狐でそれより下は人間のような姿をして柿色のローブを着た生き物がいた。それはまるでヴァシュカのような獣人とでもいうような……。
「目覚められましたか」
「わ、わぁ!」
混乱していた恒輝はいきなり話しかけられて思わず後退りする。しかしその狐の獣人は心配そうに恒輝の顔を覗き込んだ。
「驚かせてすみません。痛いところはございませんか? なにぶん、召喚は初めて行いましたのでコウキ様のお身体に負担がかかっておられないか心配で」
「……え?」
「私は外の気を操る魔法師のヨハンでございます」
「魔法師? ヨハン?」
「はい。弟のハクにはもう会われていますよね」
「ハク?」
「私と同じ格好の狐の獣人です。緑のローブを着ておりますが」
そこまで言われて昨日ヴァシュカと一緒にいた狐の獣人のことを思い出した。
と言うことは、昨日のことは夢ではなかったということか。
「君の仲間だったのか」
「はい。私の弟でございます。内なる気を操るのに長けておりまして、どんな病気や怪我も直すことができますゆえ、コウキ様もご安心ください」
一体どういうことなのか全く理解できないが、どうやら夢ではないという現実に絶望すら覚える。
しかし、何もしないわけにもいかず恒輝はヨハンに色々と聞いてみた。
ついでに様付けで呼ぶのはやめて欲しいと言ったがそれは聞き入れてもらえなかった。
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