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第15話

   ◇  ヴァシュカは忙しくなりなかなか恒輝の部屋に来ない日々が続いた。  隣国との情勢は相変わらずで、かつ貴族を招く宴の準備もあり忙しそうだった。 「今日は国中から貴族が集まっておりますのでヴァシュカ様もお忙しそうです」  窓から宮殿の庭が見えるのだが、朝から豪華な馬車がひっきりなしにやってくる。 「ただでさえ忙しいのに。体調崩さなかったらいいけど……」  しかし、そんな嫌な予感ほど的中してしまう。   「コウキ様、殿下が体調を崩されましてコウキ様を呼んでおられます」  ランカーが必死の形相でやってきて恒輝は眉を寄せた。  あいにくヨハンも席を外していて、体調不良ならハクを連れて行こうとするがハクはリサが呼びにいくので一刻も早くヴァシュカの元に行くようにとランカーに急かされながら部屋を出た。  ランカーがこんなにも焦っているなんて、何事かと恒輝は不安になりながら走っていた。  しかし連れてこられた場所は宴が行われている広間ではなく、地下に通ずる部屋。確かここには大きな壺だとか絵画など秘蔵品が保管されていたはずだ。 「広間の方じゃないの?」 「殿下は今、光を遮らねばいけない状況でして」 「光を遮る?」  何か悪い病気なのではと不安に思い、ランカーに背を向けた瞬間。  後ろから鼻と口を布で塞がれ、ほんのり薬品の匂いがしたかと思えば、手足の力がガクッと抜けそのまま階段の下に転がり落ちてしまった。

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