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第9話
職員室を通り過ぎ、保健室の前。
そこがこの学校の印刷室。
印刷機、切断機、シュレッダー、作業も出来るスペースが確保された空間の目の前には桜の木がすっかり花弁を落としているが、それが見えない様にブラインドが下げられている。
勿体無いと思いながら後ろ手にドアを閉めるとコピー機の前に立った。
前の印刷室は、職員室内の奥だった。
中庭に面した窓ガラスは磨りガラスで日当たりがとても良い2畳程の狭い空間。
夏は冷房もなく窓を開けても肌を舐める空気は気持ちが悪い程纏わり付き、冬は暖房もなく凍えながら印刷を待っていたが、此処では暑さ寒さはそんなに厳しくなさそうだ。
天井にはエアコン、壁には操作パネルと温度設定の書かれた注意書が貼られている。
原稿を翳すと、クラス人数を入力し印刷のボタンを押す。
後はただ吐き出されるのを見守るだけだ。
リズム良く吐き出される紙のにおい。
まだ少し肌寒い春の空気。
毛布を被って寝ていたいなと考えていると、1クラス分の印刷が終わった。
付箋を貼り付け次のクラス分を刷る為にボタンを押す。
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