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第12話
改札が空くのをぼーっと待っていると後ろから自分の名前を呼ぶ声が聞こえた。
「三条っ」
「田上、おはよう。」
「はよー。
いやぁ、寝坊して焦った。
走って駅行ったらギリギリセーフで電車乗れてさぁ。」
「ははっ、朝からお疲れ。」
田上は猛勉強の甲斐もあって同じ大学の別の科に入学した。
吉田は違う大学。
幼児教育の勉強がしたいと此処より更に数駅少し遠い大学に通っている。
朝が苦手な吉田がそれでも通うと決めたからには、絶対に叶えたい目標があるのだろう。
「なにがお疲れ様?」
「うおっ、知佳ちゃん居たんだ…。
おはよ。」
「三条くん、田上くん、おはよう。」
知佳ちゃんは三条と学部も同じ。
資格必須科目以外は割りと同じ教科を選択していてよく話をする。
知佳ちゃんはあっさりしてると言うか話しやすい。
あんまり一緒にいると変な誤解を受けるのではと心配したが、吉田がそっちの方が知佳ちゃんに変な野郎共が寄ってこなくてマシだ!と言ったから気にする事もやめた。
男女の友情が成立するかは置いておいて、三条も気負わず話せる相手が同じクラスに居てくれて有り難い。
「遅刻しそうになって朝から走ってさ…」
「それはお疲れ様だね。
でも、目が覚めそう。」
「ははっ、知佳ちゃんポジティブ。」
それに、三条は長岡以外まったく興味がない。
人数の減った三条達は駅から続く坂道を下り大学へと歩いていく。
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