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第20話
自宅まで送ってもらった三条は自宅に置かれたままの母親の自動車に若葉マークを着けると弟を迎えに行く。
はじめて助手席に乗せたのは弟。
兄が大好きな弟はわくわくした顔を見せているが、兄は少し緊張している。
無事に駐車出来た三条はほっと息を吐いた。
「母さん。
来たよ。」
「遥登。
優登。
おはよう。」
兄弟揃って病室に顔を出すとそこで気持ち良さそうに寝ている弟にはじめて会えた。
父も母も嬉しそうに笑っている。
「ちっちゃ…」
「綾登、にーにだよ。
遥登と優登。
はじめましてって。」
三條綾登
新しい家族は綺麗な名前を貰った。
色んな芽が出てぐんぐんと空まで伸びますように
誰かに優しく寄り添え
広い心がぐんぐん伸びますように
綺麗な織物
美しい模様
この子の綺麗なモノがぐんぐんと伸びますように
両親からの最初の贈り物を、きっとこの子も気に入ってくれるだろう。
小さな小さな手をつつくと握ってきた。
あたたかくて力強い。
「また女の子みたいな名前だね。」
「登がなきゃな。
でも、優登も気に入ってんだろ?」
「まぁね。
綾登。
はじめまして。」
「はじめて、綾登。」
はじめまして。
こんにちは。
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