46 / 1502
第46話
日が長くなってきた。
夕食のにおいが彼方此方からし始め、長岡も腰を上げたのは数十分前。
台所スペースに立つ長岡の隣で三条は尻尾をぶんっぶんっと降っている。
「正宗さん、良いんですか?」
「遥登の誕生日だ。
良いに決まってんだろ。」
「ありがとうございます!」
カレーの上に唐揚げと半熟とろとろの目玉焼きがのっている。
野菜スープとサラダ。
朝の残りのウインナーソーセージも焼いてくれた。
それから、冷蔵庫の中にはチョコレートのホールケーキ。
あれだけ引きこもると言っていた長岡だが、三条の好きそうなチョコレートケーキをホールで予約してくれていた。
引き取りに行く前は随分と渋い顔をしていたが、その言葉通り本当にすぐに帰って来てくれた恋人。
「正宗さん、おかえりなさい。」
「ん、ただいま。
ケーキ買ってきたから食おうな。
プレートも付けてもらってきた。」
「ありがとうございます。」
出迎えると頭に鼻を埋めて執拗ににおいを嗅がれるし撫でられるし、淋しがり屋の飼い主みたいでちょっと可愛かった。
そんな会話をしてから数時間しか経っていないのに、もう美味そうな食事の全貌が見えて三条はご機嫌だ。
ともだちにシェアしよう!