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第70話
本の返却に訪れた図書室で知佳ちゃんと会い、そのまま一緒に購買へ向かい歩く。
なんでも購買でミントチョコメロンパンが発売されたらしい。
最早メロンパンとはなんだと思いながら、知佳ちゃんの話に相槌を打つ。
「知佳ちゃんって、チョコミント好きなの?」
「え?
言うほどかな。
メロンパンが好きなの。」
やっぱり知佳ちゃんは掴めないところがある。
吉田はそういうところが好きなのかもしれないな。
大きな窓から日の光がさし埃がキラキラ輝いている。
そんな大学構内。
そこに居た人を見て三条はくりくりした目を大きくした。
「あ、先生」
隣を歩いていた知佳ちゃんが声をかけると、その人はやっと自分達に気が付き此方を向く。
長身ですらりとしていて、きちんとスーツを着込んだ人。
セットされた髪が窓から入る光に透けてキラキラ輝いている。
綺麗な、人。
「おぉ、三条、中川。
こんにちは。」
「こんにちは。
お久し振りです。
学校見学ですか?」
「お久し振りです。
そうなんだよ。
A組もしたよな。」
教師の顔をした長岡は頭を下げた2人に同じものを返した。
生徒にも丁寧な対応をする。
学校見学か
懐かしい
もう3年も前の話なのか
あの頃は長岡とはただの教師と生徒だったが、今は違う。
ドキドキと心臓まで会えて嬉しいと騒ぐ。
隣には何も知らない友人がいるのに。
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