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第75話
冷凍していた白米と遥登が作り置きしておいてくれたそぼろで簡単に、だけど美味い晩飯にする。
三条にそんな事をさせる為に付き合ってる訳でも部屋に招き入れてる訳じゃないと言っても、作り置きがあれば食事の支度が簡単でしょう?と笑顔を返された。
確かにめんどくさいとカップ麺に手が伸びてしまう長岡にとって、三条の作り置きは有り難いし、遥登の味は好きだ。
煎りたまごの代わりの目玉焼きをつついて、更に食べ進める。
三条の作る料理は甘めで優しい味がする。
家庭の味を連想する味。
実家の母親も昔は甘い味付けだったが子供が大きくなるにつれ次第に大人の味付けに変わっていった。
出汁が効いていたり、辛口の味付けに変わったり。
だからか、懐かしささえある。
そりゃそうか
歳の離れた兄弟がいれば、下の兄弟に合わせた味付けになるよな
カレーを作る際に大人用と子供用と用意する家庭もあるらしいが、少なくとも三条の育った家庭では辛口のカレーは食卓には上がらないらしい。
それでも、あの食いっぷりから大量のカレーが作られるのだろう。
想像の中でも、三条はしあわせそうにカレーを頬張っている。
1人の飯は味気ない。
そう思ってしまうのは恋人のせいだ。
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