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第95話

キョロキョロと辺りを見渡すがやはり特異だ。 ホテルなのに教室のセット。 ベッドの近くに机と椅子、黒板。 此処は、セックスに特化した場所だ。 そういう空間なんだと、意識してしまう。 ……何処に居ても居た堪れない 一人残された三条は一番マシなソファに三角座りで顔を埋めた。 シャワーの音が聴こえる… 生々し過ぎる… 頭がぐるぐるしてきた。 倒錯し過ぎている。 なんでホテルに来たのか考えもせず、ただぐるぐると羞恥に耐える。 「なにしてんだ?」 うんうん唸っていると頭上から声が降ってきた。 何時の間にかシャワーを浴び終え戻ってきた様だが恥ずかし過ぎて頭をあげられない。 真っ赤に染まった耳縁をするりとなぞられ肌が泡立つ。 何時もの冷たい手じゃない。 シャワーで温もった手だ。 「遥登も風呂行ってこい」 「…………どこまで、洗いますか…」 「…あぁ。 ふはっ、終わってからまた風呂入るから身体だけで良いぞ。 あぁ、でも、腹もな」 長岡と教室風セットを見ない様に浴室へと急いだ。

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