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第117話
昼飯を済ませたらまたベッドに戻る。
自堕落だけど、しあわせで贅沢だ。
ベッドの上でごろごろとしながら雑誌のページを捲る、節だった、だけどすらりとした指を見ているとその指がこちらに伸びてきた。
「どうかしたか」
頬を指の背で撫でる冷たい手。
涼しい室内でも、その手のぬくもりがじわじわと染みてくる。
見ているのも良いが触れられるともっと嬉しい。
首を横に振ると、するりと手が腰に回って来た。
「じゃ、もっとこっち来い」
ビクッ
つい身体に力が入ってしまう。
思いっきりびくってした…
やば…恥ずかしい…
笑いを堪えた声に、意識したみたいで恥ずかしさが込み上げてくる。
「なにもしねぇって。
抱き締めるだけ」
「あ、はい…」
長岡は仰向けになると腹の上に細い身体を引っ張り上げた。
「重くないですか…?」
「骨と皮だけの身体で重いってなぁ…」
「じゃあ、骨が当たって痛くないですか?」
「それは大丈夫」
横の髪を耳にかけられながら頭を撫でられ、つい尻尾が揺れてしまう。
優しい手が心地好くて甘美だ。
やっぱり、柏や蓬が羨ましい。
ひんやりとしたシーツを掻くと、伸びをして甘える。
嬉しそうな手が顔を手招いた。
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