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第143話
お盆休みが丁度良いと、綾登のお食い初めをする事になった。
主役の綾登は朝から大好きな長男に抱っこされご機嫌だ。
「優登、大丈夫か?」
「大丈夫…っ」
蓮根を花型にする優登の目は真剣そのもの。
人参は型抜きで抜けば良いが、穴が不揃いな蓮根は手を加えなければいけない。
1つひとつ穴に合わせて剥いていく。
だけど、誰かを思ってする事は手間ではない。
優登はそれをきちんと理解している。
だから文句も言わず丁寧に蓮根と向かい合っている。
その横で母親が吸い物を作っていて、リビングには出汁のいいにおいが満ちていた。
「あー」
「ん?
綾登のご飯だよ。
優登とみーちゃんが作ってくれてるな」
ぎゅぅっとシャツを握る小さな手がぐいぐいを服を伸ばす。
服は伸びるが可愛い。
「出来た!
兄ちゃん見て!」
「上手いな。
綾登、見てみ。
上手だな」
くりくりの目が次男を捉えると無垢な笑顔を見せた。
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