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第153話
ベッドに寝転び隣の髪を弄りながらページを捲る。
インクのにおいと、紙のにおい。
それと傍らの子供体温。
アイスコーヒーの氷が溶けてカランと音がした。
さっきまで本を読んでいた三条はうとうととし出し、頭を撫でているところっと寝落ちてしまった。
スースーと聴こえてくる気持ち良さそうな寝息。
昼飯を食べ終え機嫌の戻った恋人はその本にスピンすら挟んでいない。
後からどこまで読んだか探すのが大変だ。
色の少ないこの部屋を鮮やかにしてくれるのは、たった1人の恋人。
散らばる髪をさらさらと弄り、顔にかかる髪を耳にかけて顔を出した。
きっと、夏休みだからと夜中両親を手伝い弟をあやしていたのだろう。
家族を大切にするこの子だから簡単に想像が出来る。
長岡は積ん読を減らすべく、またページを捲った。
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