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第154話

傍らの呼吸に釣られ長岡もうとうとし出したのはそれから1時間程経った頃だった。 一緒に昼寝を…とシーツに顔を埋めると、インターホンが鳴り響いた。 あ、そういえば… 「ありがとうございました」 宅配物を受け取り部屋へと戻ると寝ていた筈の三条が起きていた。 眠そうな目をぽけっとさせ、ふにゃふにゃしている。 「悪い、起こしたか」 「んーん、喉が渇いて起きただけです」 「なら、麦茶飲もうか。 それから、亀田先生から荷物届いたんだよ。 分けんの手伝ってくれるか」 喉を潤す隣でガムテープを剥がす。 箱の中には、家庭菜園で採れたからお裾分けだと新鮮な野菜が詰まっていた。 事前に送っても大丈夫か連絡は貰っていて知ってはいたが、それにしてもこれはすごい。 大小のトマトは赤に黄色、オレンジ、紫と色鮮やか。 茄子は棘が刺さる程に新鮮で、胡瓜にいたっては瓜程太い物も混じっている。 今年のは甘いと小玉すいかまでおまけに入っていた。 …家庭菜園ってレベルじゃないだろ 相変わらず、すごい人だな 横から覗く遥登の口にミニトマトを運びながら野菜をジップロックに仕分けて冷蔵庫になおしていく。 胡瓜の数本は太過ぎてそのままでは袋に納まらない。 「すいかはおやつに食おうか」 「本当ですかっ。 楽しみです!」 「本当ですよ」 嬉しそうに喜ぶ可愛い口に吸い付くと甘酸っぱい味がした。 「っ…」 「ははっ トマトみたいに真っ赤だぞ。 照れてんのか。 可愛いな」 そして、箱の中には1枚の便箋。 丁寧な文字で一足早いメッセージが書かれていた。

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