「お湯、ありがとうございました」 「ん、ほら来いよ」 ドライヤーの準備万端で自分の座る隣を指差した長岡の言う通りにする。 すぐにはじる癖。 わしゃわしゃと手が髪の中に温風を入れてくれる。 ドライヤーが長岡の部屋とシャンプーのにおいを濃く巻き上げた。 「正宗さんがあがったら俺もしますね」 「手だけで良いよ」 「俺がしたいんです。 させてくれますか？」 「じゃあ、キス」 唇を食まれ、ぽわっと頬が別の色に染まった。 「ほんと、キス好きだよな」 「…それは、正宗さんの方です」 「俺は遥登の方が好きだけど」 ストレートな言葉に三条の周りに花が咲く。 そして、もう一度唇が触れ合った。 食む様なキスに顎を引いてしまうと形の良い唇が追い掛ける。 濡れた髪から落ちた水滴が長岡の手を濡らす事も気にせず、後頭部へ回ってきた。 襟足を撫で、耳を擽り、鼻が触れ合う距離で綺麗に笑う。 「恥ずかしいのは？」 「正宗さんとだけ、です」 良い子、とまた唇を食まれシャツにもシミが広がっていく。 ジワジワと冷たいものが広がっていくが、それより長岡の事でいっぱいだ。 目を伏せ恥ずかしそうにする三条は湯上がりのせいもあり色っぽい。 長岡に誘われている様で、本当に誘われているのは長岡の方だった。