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第182話
洗濯物を腕に引っかけ、ベランダの窓を開けると遠くに大学が見える。
長岡は、普段どんな気持ちであの学舎を見ているのだろうか。
カーテンを開ければ毎朝見える、そこ。
懐かしいだろうか。
それとも、見慣れ過ぎて気にも留めていない。
もし、恋しいと思ってくれていたら嬉しい。
自分を思い浮かべてくれたら嬉しい。
さわさわと髪を揺らす風が室内にも入り込む。
長岡の使っている洗剤のにおいがふわふわとかおり今見送ったばかりの恋人がもう恋しい。
だけど、今日はしたい事が沢山ある。
掃除をして、夕食の支度をしてそれから…
頭の中でタイムスケジュールとおおまかな買い物リストを作ると、長岡への恋しさを忘れるように今日は動くつもりだ。
ハンガーに引っ掻けた洗濯物を干しながらも、頭の中は長岡の笑顔で溢れる。
やっぱり
ただただ、長岡が恋しい。
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