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第195話
そうしている内に9月になり、長岡の部屋の本と資料で予習も進められ順調に後期の準備が整っていく。
長岡の使っていた本にはいくつもメモ書きがされていて、それは補足であったり参考書の名前であったり様々だったがどれもそれに目を通すとより深く理解する事が出来た。
大学生の長岡がそこにいる。
本を通して見えた気がした。
「正宗さん、ここ、少し教えてもらっても良いですか?」
「ん?
これか?
うん…うん…」
三条の性格を表した様な文字を滑る様にとらえていく。
真剣なその眼差し。
学校でずっと見ていた目。
教科書を読む長岡が好きだった。
気持ちの良い風が教室内を通り、背筋を真っ直ぐ伸ばして教科書片手に朗読する先生。
低く落ち着く声が心地好くて好きな時間だった。
あぁ、そうだ。
中庭から緑のにおいが微かにしたんだ。
それが若々しさを引き立てて、穏やかなあの校舎にとてもよく似合っていて。
「うん、よく書けてる。
これで大丈夫。
深く追求してあるし、ここよく書けてる…」
「?」
「他の事考えてたろ」
なんでバレた…?
「授業中、たまにぽやっとしてたよな」
悪戯気な長岡の声。
なんだ、とっくの昔にバレてたのか。
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