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第200話
9月は2回も連休がある。
連休。
つまりは外泊日。
長岡と一緒に寝られる日。
そんな事で部屋へと向かう足取りは軽くなる。
単純だと思いながらも、単純で良かったとも思う。
電車の中はマークシート式の参考書やマーカーラインの引かれた本を見る高校生と、遊びに行くのか楽しそうに会話をする中学生がちらほらといた。
自分もああして電車に揺られていた。
懐かしいと言うにはあまりに日が浅く、いまだ本を読みながら大学へと通う三条にはありふれた景色だ。
休日だと言うのにスーツの社会人の姿もある。
みんなが公務員の様に休みなのではない。
電車の車掌も運転手も仕事をしてくれているから、こうして利用出来る。
三条は電車に乗って長岡の部屋へと向かっていた。
特別な理由はない。
ただ、少し早く家を出て何時ものバスより早い時間の電車に乗っただけだ。
長岡の部屋に到着するのも必然的に早くなる。
目を引く黄金色は少しずつ刈り取られあちこちに剥げが出来てきた。
そんな景色に秋を感じる。
『即効掃除するからゆっくり歩いてこい』
『わかりました』
なんて返事をしたが、早く会いたい。
綺麗な景色を見ると1番に教えたくなる。
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