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第201話
バス停から部屋に向かうには上り坂だが、駅からは下り坂だ。
のんびりと歩いて行く。
照り付ける太陽はまだ眩しいが、空の色はすっかり秋だ。
並木も色付きはじめた。
くるくると躍りながら足元に積もる落ち葉。
踏むと焼き立てのパイみたいな軽い音がする。
子供の頃の様に落ち葉だけを踏み締めたりはしないが、少し楽しい。
角を曲がろうとした三条はマンション前に人影を見付け、足を止めた。
やば
誰かいる…
マンションの住人でない人間の出入りは目立つ。
それも目立つ長身の若い男となれば殊更だ。
田舎だからこそ見掛けない人間の行動は注意の的。
体調悪いのか…あ、
その後ろ姿はよく知ってる人の背中だった。
よく見なくとも間違える事はない。
大きな背中。
更に除き混むと、大きな手が小さな生き物の頭を撫でている。
猫を2匹飼っていて慣れているせいか猫も大人しく撫でられている。
気持ち良さそうで羨ましい。
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