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第207話

日中、日向ぼっこをさせていた寝具をベッドに戻す。 ふかふかのふとんは太陽のぬくもりであたたかい。 それで恋人をくるむと綺麗な花が咲く。 「暑くねぇか?」 「大丈夫です。 ふとん、太陽のにおいがしますね」 「太陽のにおいか」 太陽のにおいは遥登の方だ。 清潔であたたかいにおいがする。 ガラじゃないが、しあわせのにおいだと思う。 「ダニの死骸のにおいとか言わないでくださいよ」 ふと笑ったのを三条は違った意味に捉えたらしい。 ダニの死骸のにおいって色気のねぇ… でも、遥登らしいか 髪を耳にかけながら頬に触れる。 肉付きが悪いせいだけでなく顔も小さい。 というか、骨組みがそもそも細い。 無理矢理縦に伸ばした様な骨格。 これで心配にならない方が無理だ。 だけど、案外スタミナがあるのも人より食うのも知っている。 決して不健康ではない。 「はいはい。 良い子は寝る時間ですよ」 「そんな子供じゃないですって」 「じゃ、大人な事でもするか?」 かぁっと頬を染めた恋人は目を泳がせる。 ウブで飾らなくて、真っ直ぐだ。 そんな三条が愛おしくて。 何を想像してくれたのか。 「何想像してんだか。 夜更かしに決まってんだろ」 髪を撫でながら少しいじめると、可愛い顔をした。 これだからやめられないんだ。 枕に顔を埋めるとさらさらした髪が陰にしてしまう。 だけど、照れているのが丸分かりの耳が丸出しだ。 「腕枕はしねぇのか?」 「……して、欲しいです」 「じゃ、こいよ」 腕を差し出す鎖骨に額をぶつけてきた。 ぐりぐりと押し付けて小さな抵抗に頬を緩めていると、服を引っ張られる。 「ん?」 三条はシーツを蹴ると首を伸ばした。 チュ 「ははっ、かわい」

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