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第218話
机にぶつけた脚を心配し、長岡は仕方がないとばかりに風呂を進めてくれた。
三条自身ある程度火の付いた身体で待てはもどかしいが、準備が出来るとふらふらと浴室に向かう。
乱れた着衣を脱ぎ、裸体を彩るのはマーキングの色だけ。
自分で見てもいやらしい。
なんて、顔してんだよ…
浴室の鏡に映る自分はいやらしくて見るに堪えない。
する事をしてすぐに出た。
あれ…服…
そんな三条を脱衣室で待っていたのは今しがた脱いだものではなくて長岡の物だった。
タオルは俺が持っていくからと肩を押されそのまま来てしまったが、間違えた?
いや、長岡が間違える筈ない。
おかしいなと思いつつそれに腕を通した。
良いにおいが自分を包む。
「あの…、正宗さん、服」
襟足を湿らせたまま三条は寝室に顔を見せた。
「俺の。
たまには良いだろ?」
たまにはと言うか、すごく良い。
洗濯をしても長岡のにおいが染み付いたシャツ。
抱き締められているみたいで嬉しい。
「遥登、突っ立ってねぇでこっち来い」
ローションや首輪の用意されたベッドをたたかれ、生唾を飲み込んだ。
セックス、するんだ
準備だってしてきた。
だけど、いざ目の前にそれらと共に恋人がベッドに居るとすごく官能的で。
生々しいそれらから視線を下げると、低く甘い声が名前を呼んだ。
三条の好きな声で。
「すんだろ?」
いやらしく上がった口角に意を決し、寝室の扉を閉めた。
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