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第237話

授業が終わりリュックを担ぐと、スマホを持った知佳ちゃんがやって来た。 「三条くん、この後暇?」 「うん。 暇だけど、どうしたの?」 「タピ活に行かないかなってお誘いに来たの」 タピ活。 話には聞くがまさか自分に使われるとは思わなかった言葉を知佳ちゃんはさらりと使った。 「未知子が吉田くん捕まえたからタピろうってLINEくれたの。 で、吉田くんがいるなら三条くんと田上くんも誘わなきゃって思って」 「吉田も…? 嬉しいな」 会う機会の減った友人の名前に三条は表情をやわらかくした。 ふわふわ笑う三条と知佳ちゃんを教室から出て行こうとした教授は仲睦まじいと眺めるが、2人はただの友人だ。 だが、そのお陰もあってしつこく寄り付く人はいない。 それこそ、吉田と長岡には都合が良い。 「行く。 誘ってくれてありがとう」 「どういたしまして。 じゃあ、そう返信するね」 「うん。 俺は田上呼ぶね」 さっき別れた田上。 繁華街の本屋に行くと行っていた。 運が良ければ一緒に行けるだろう。 久し振りにみんなと会える事に三条は何時にも増して口端が上がっていた。

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