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第239話
「三条くんは何にする?」
「うーん……」
「お、黒糖ミルク美味そう」
「吉田、黒糖ミルク?
うーん……」
「私はマンゴーかな」
「うーん……」
三条の持つメニュー表を覗き込みながらぞくぞくと注文を決めていく友人。
なにで決めかねるのかと言えば、甘さだ。
市販の物なら味は分かるが、こういう海外風のお店はガツッと甘い事が多々ある。
チョコレートがいい例だ。
それなら、冒険はしない方が賢明か。
「無難なのかな…」
「ミルクティー?」
「うん。
ミルクティーにする」
行列待ち中にメニューを見ながら頭を悩ませ、漸く決めたのは無難なミルクティー。
所謂SNS映えしそうな店内には女の子ばかりで三条達には少し居心地が悪い。
それに気が付いた未知子ちゃんは外で待ってて良いよと声をかけてくれた。
「大丈夫。
出来上がったら呼ぶから気にしないで」
「ありがとう。
じゃあ、お言葉に甘えさせてもらうね」
外に出るとぽけーと空を眺める。
すっかり空は秋の色をして、近くのショーウィンドーにも秋色の服を纏ったマネキンがポーズを決めていた。
「あそこ、耐震はいるらしい。」
「寧ろよく今まで大丈夫だったな。
カレー屋どうすんだ?」
「間借りするんだったかな?」
久し振りに揃った友人との話は尽きない。
春に別々の学校に分かれてもう半年が経っていた。
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