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第242話
大きな台風がやってくる。
JRは運休、バスもだ。
長岡は命が最優先だと部屋に来ないよう釘を指した。
「やっぱり今日大学の帰りにそのまま部屋に行ったら良かったです」
『親御さんが心配すんだろ。
たまには弟とゆっくり過ごせ』
アプリを使って顔を見ながらの通話にしてくれてるあたり、長岡も三条の顔が見たいのだ。
なんせ本来なら外泊する日、しかもクライマックスシリーズで伝統の一戦が繰り広げられる日だったのだから。
2人で炭酸飲料を飲みながら野球観戦をする筈だった。
そして、勝利を祝福する。
だが、相手は天気。
自然ばかりはどうする事も出来ない。
せめて、少しでも被害がなければと願うばかりだ。
『な、試合観たか?
すっげぇ面白い試合だったよな。
興奮した』
こうして通話出来ているだから我が儘は良くない。
長岡を困らせたい訳ではないんだ。
「観ました。
面白かったです」
手のひら程の画面でも分かる柔軟な表情が三条の表情もやわらかくさせる。
『多分土曜の試合は無理だろうな。
日曜は決めるぞ』
「はい」
日曜は一緒に試合が観れたら良いな。
勝って2人で喜びたい。
負けて悔し悔しがりたい。
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