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第246話
夕餉の良いにおいが部屋を包む頃になっても綾登のご機嫌は崩れない。
「ぅーぅー」
大好きな兄の膝の上で脚をバタ付かせた。
本当に長男が大好きだ。
「綾登、今日からご飯も食べようね」
母親はやわらかくにたお粥をほんの少し皿にいれ目の前に差し出す。
今日から離乳食をはじめるらしい。
皿に興味があるのがじっと見詰める。
「綾登、あーん」
「綾登、ご飯美味しいよ。
食べてみな」
スプーンで唇をつつくと小さくぺろっと舌が出た。
「お、食べた」
食べたと思えば背中をそらせ抱っこを強請る末弟。
「綾登落ちる…分かったから…抱っこな」
「良い子ね。
また明日も食べてね」
やっぱりまだミルクの方が良いかと母親が立ち上がると、綾登は皿に手を伸ばす。
「やっぱり食べるの?」
「んーんー」
「あーんして」
「ぶー」
そんな様子を撮影する優登と父と、風が強くなっていく中家族団欒で過ごす休日は久し振りだった。
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