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第247話
綾登と風呂に入るのは父親の特権らしい。
父はご機嫌で綾登を連れて風呂場に行った。
今日は綾登のご機嫌が良いから風呂場から泣き声は聞こえない。
静かになったリビングで兄達はゲームに熱中していた。
「あー、またやられた…」
「優登、父さん相手だと負けてやってるんだって?
優しいな」
「今は本気だけど!」
ビュービューと庭木を揺らす風にも負けず兄とゲームで熱戦を繰り広げる優登もご機嫌だ。
今日は兄がいる。
大好きな兄と沢山ゲームが出来る。
兄に似た顔でにこにこと笑ったり、ゲームに負けて悔しがったりと表情筋は忙しそう。
「もっかい!」
「はいはい」
優登は連続技を仕掛けようとするが、逆にかけられてしまう。
土日祝日の事を考えれば自分の方がゲームに触っていそうなのに兄は強い。
勉強も出来る兄は物覚えが早いのか。
カチャカチャとコントローラーを動かし兄を押しやる。
「あーっ!」
「ははっ、俺の勝ち」
が、また笑顔で負かされてしまった。
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