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第250話
「遥登、また頭ぶつけたろ。
こぶ出来てる」
「あぁ…、この前電車でぶつけたんです」
「あれは痛てぇよな」
本を読みながら頭を撫でくり回していた長岡の手が優しくこぶを撫でる。
すっかり痛みも引き、こぶ自体も小さくなってきていたが形の良い頭には不似合いだ。
「吉田達とタピオカ飲みに行ったんです。
タピ活ってやつですよ」
「若者満喫してんな。
美味かったか?」
「甘かったです」
特別甘い物が苦手な訳でもない三条がそう答えるなら味が想像出来ると長岡は笑う。
3人揃った話を聴けば、中川や小出も一緒だったらしい。
なんだその楽しそうなメンツは。
「みんな元気か」
「元気ですよ。
かわらずです」
便りがないのは良い事だ。
それに、こうして三条から聴ける事もある。
元気そうで良かった。
進学先は離れてしまったがやっぱり3人組が揃った話を聴くと楽しそうだ。
あの良い笑顔がすぐに思い浮かぶ。
階段みたいに並んで笑う三条達。
懐かしい。
今だって三条の笑顔を見ているが、あの笑顔は3人組が揃わないと見られない。
そう思うと田上と吉田が少し羨ましい。
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